IT部門の機能の一部を停滞させているのは、インフラストラクチャーの複雑さとサイロ化されたチーム間の調整不足が原因です。設計者は、迅速さと俊敏性を追求する一方で浪費を最小限にとどめる設計を行うためのフレームワークとしてリーンインテグレーションを検討すべきです。
2008年、TDWIが毎年行っているBIベンチマーク調査に参加したIT専門家の報告によると、IT部門がデータソースをウェアハウスに追加するのにかかる時間は平均7週間でした。この作業時間は、2012年までに9週間に延びています。
同様に、ウェアハウス階層の変更にかかる時間は、2008年には4.7週間だったのに対して、2012年には7週間にまで長期化しています。 一体何が起きたのでしょうか?ビジネスがスピードと俊敏性を求めているにもかかわらず、IT部門の処理能力が低下しているのでしょうか?
IT部門の機能の一部を停滞させているのは、インフラストラクチャーの複雑さとサイロ化されたチーム間の調整不足が原因です。企業の設計者と開発者が巨大かつ複雑化した統合にポイントツーポイントインタフェースをさらに追加すると、ハンドコーディングに労力を費やすことで、メンテナンスコストは膨張する一方です。IT部門の予算のうち、統合にかかる費用が50%を超えることも珍しくありません。
このように人的リソースの多くが完全に浪費されています。これは、企業の設計者や他のITの専門家が、現状のプロセスやツールで成果を挙げきれていないことが原因なのではありません。統合に次世代的アプローチを採用すれば、無駄を根本から排除し、停滞した現状を迅速かつレスポンスの高い機敏なプロセスに変革することができます。
統合に工場方式のアプローチを採用
自動車産業におけるトヨタの生産方式をから生まれたリーンインテグレーション(無駄のない統合)では、データ品質と統合に対して工場と同様のアプローチを導入しています。組織的および技術的なフレームワークを活用することで、データ統合の新たな段階への移行を、20年前よりも、そして今日も、より迅速かつ適切に低コストで促進しています。図 1 を参照してください。

図 1:データ統合の各フェーズをハンドコーディングから工場方式のプラットフォームへと変革することで、生産効率を改善します。
インフォマティカのJohn Schmidt、David Lyleの共著『Lean Integration: An Integration Factory Approach to Business Agility(リーンインテグレーション:ビジネスに俊敏性をもたらす工場方式の統合アプローチ)では、リーンインテグレーションの原理およびアーキテクチャについて解説しています。設計者が本書から学ぶべき重要ポイントは、早い段階から頻繁に業務部門と関わりを持つこと、浪費やビジネスへの影響を文書化すること、綿密なソリューション計画を示すこと、そしてデータプロセスを合理化して俊敏性を高める次世代モデルへの移行を支援してくれる業務部門からの協力を獲得することです。
リーンインテグレーションは、インテグレーションコンピテンシーセンターで支えられるのが理想的であり、次のようないくつかの基本方針に基づきます。
- 浪費の排除: 冗長な作業ややり直しを排除し、スケジューリングと承認の遅れを最小化できるようにプロセスを合理化することで、時間、コスト、リソースの浪費を回避します。
- プロセスの自動化: 再利用可能なテンプレートやコンポーネントおよび自動化されたワークフローを使用するシステマティックなアプローチでプロセスを自動化します。
- 品質の確保: テスト中にデータ問題を発見するのではなく、要件定義の段階で早期に自動データプロファイリングを使うことで品質を確保します。
- 継続的な改善を促進: ビジュアルなメタデータ管理やデータ品質スコアカード、緊密な業務部門とIT部門のコラボレーションにより継続的に改善します。
- チーム力の強化: 非技術系ビジネスアナリストやデータ管理者向けのセルフサービス機能と役割ベースのツールを活用して、チーム力を強化します
- 変更計画: 基盤となるシステムに影響を与えずに再利用できるデータ仮想化レイヤーと論理データオブジェクトによって変更計画を実施します。
www.integrationfactory.comでは、リーンインテグレーションを採用した消費財の製造企業が、初年度だけで800万ドルのコスト削減に成功した事例を掲載しています。統合プラットフォームの標準化による260万ドル、共有コードコンポーネントによる300万ドル、ハードウェアの整理統合による200万ドル、教育やトレーニングの共有による50万ドルの削減が内訳となっています。リーンインテグレーションは、決して夢のような話ではなく、すでに実績のあるアプローチです。
資料
- 1『2012 BI Benchmark Report』および『2008 BI Benchmark Report』、Data Warehousing Institute
リーンインテグレーションは、組織的および技術的なフレームワークを活用することで、データ統合の新たな段階への移行を、より迅速かつ適切に低コストで実現します。