データガバナンスとデータメッシュ、データファブリックの関係性

Jul 03, 2022 |
インフォマティカ編集部

データガバナンスは、データおよびデータ関連資産の管理に関する権限の実行・施行であると定義されています1

 

昨今、組織でのデータ管理に役立つ技術として、「データメッシュ」や「データファブリック」が用いられるようになりました。このブログは3回にわたって、データガバナンス、データファブリック、データメッシュの重複している部分やそれぞれの関係性、そしてビジネスを変革させる核ともいえるデータの役割についてご説明します。シ

リーズ最初の本ブログでは、データガバナンスとデータファブリック、データメッシュ技術の間にはどういった関係性があるか、また、これらをどのように関連づけるべきかについてご説明します。

 

ガバナンスという用語は、人々の行動に焦点を当てたものです。大抵の場合、ガバナンスには権力や支配といったものが関連しています。そして、データファブリックがテクノロジー中心である一方、データメッシュは組織の変化に焦点を当てたものです。つまり、メッシュは現段階における人々の行動を変えるものであると言えるため、まずはこちらについて考察してみましょう。

ガバナンスとメッシュの関連について先に把握しておくことで、ガバナンスとファブリックの関連性をより理解しやすくなります。メッシュとファブリックは異なるものですが、相互補完的な関係にあります。組織がこれら2つの手法にガバナンスを適用する際も、メッシュからファブリックという順序で行われます。

データガバナンスとデータメッシュ
業界アナリストやソフトウェアベンダーは、組織データを運用データ・分析データという2つのカテゴリに分けることが多くあります。レポートや分析を目的とするデータは常に、組織の運用をサポートするデータから論理的・物理的に分けられてきました。

過去のデータウェアハウスから現在のデータサイエンスおよび分析プラットフォームに至るまで、意思決定に使用されるデータは、ビジネス機能やビジネスプロセスをサポートするデータとは異なる方法で構築されています。

 

データメッシュのアーキテクチャは、データに最も近い人々にデータの責任を負わせるという概念に端を発しています。その中心には、責任の分散と分配というキーワードがあり、データガバナンスの中核ともいえるデータスチュワードシップ(案内管理責任)にもつながります。

データの定義、作成、使用に関する責任を形式化し、データガバナンスを主導している組織は、データガバナンスプログラムの基盤となるスチュワードシップが整っていない組織よりも進んでいると言えるでしょう。

 

全体的な効率と有効性の向上を目指す組織は、多くの場合、分散的な手法で運営を行っています。ビジネスを業務ごとのドメインに分解することで、継続的な変化の影響を抑えているのです。

データのドメインはデータガバナンスの戦略を左右するものですが、組織間の資産としてこういったドメインの管理を行うことは非常に困難です。ビジネス機能によるデータの所有は有効性を向上させる可能性がある一方、データのサイロ化につながり、組織全体の見通しが悪くなる場合もあります。

 

だからこそ、データガバナンスをデータメッシュに適用させる必要があるのです。効果的なガバナンスを行うためには、ビジネスドメインのデータ所有者の活動を組織全体で調整することが必要です。この調整は、自然に起こるものではありません。そのため、調整にむけてしっかりとした目的意識を持って取り組むことが求められます。

データのランドスケープを完璧に把握するために必要なデータ関連の取り組み(ガバナンス)を実現するには、業務データドメイン内およびビジネスドメイン全体のデータに対し、正式な責任の定義づけ(スチュワードシップ)をする必要があります。

 

データガバナンスとデータファブリック
データファブリックとは、データ環境全体で信頼性の高い機能を提供するためのサービスとアーキテクチャを指します。データファブリックを実現するためには、アーキテクチャ面では、データストレージプラットフォームとそのデータを利用するデバイス間全体でデータに関する取り組みを標準化する必要があります。

サービスとしての標準化には、データに対する権限、つまりガバナンスの実行・施行が必要です。データファブリックは定義上、技術的なものではありますが、サービスとアーキテクチャに対する正式な責任の定義づけをする必要性がなくなるわけではありません。

 

データファブリックでは、プラットフォーム間で分散しているデータへのアクセスを最適化し、組織化されたデータのビューを論理的に提供して、利害関係者がセルフサービスでデータを扱うことが可能になります。データ科学者は、ファブリックを活用することでより効率的かつ効果的にデータへアクセスできるようになり、サイロにアクセスしようとすることで生じる複雑さが大幅に削減されます。

このような機能を実現するためには、データメッシュと同様に、正式なデータスチュワードとガバナンスの行き届いたデータエコシステムの調整や連携が必要です。

 

データファブリックアーキテクチャの目標は、最も重要なデータリソースを民主化し完璧に有効活用することです。そこで求められるのが、複雑さを軽減させる一貫性と標準化です。これは、データマネジメントを通して権威を確立し、説明責任を正式化することによってのみ実現することが可能になります。

こういった取り組みによって、データの品質、理解と洞察、制御とアクセス、分類、保護、セキュリティが向上します。効果的なデータファブリックを実装するという目標は、効果的なデータガバナンスを行う際の目標とよく似ています。

 

データファブリックは比較的新しいモデルです。次世代のエンタープライズデータマネジメント(EDM)を合理化し、組み込むことで、オンプレミス環境とクラウドベース環境の両方を含むエンドポイント全体にデータを配信します。

データファブリックは、物理的な制限を緩和し、データへの均一なアクセスを提供するアーキテクチャおよび一連のサービスであり、デジタルトランスフォーメーションの加速を促すものです2

 

成功を実現するには、理想的なデータメッシュとデータファブリックの構築に向けて、人材やその他のリソースを確保することが必要です。組織がデータを最大限に活用し、前進するために、人材の調整・連携に向けた指針が不可欠となります。

 

まとめ
データファブリックとデータメッシュは、どちらか、もしくは両方をデータガバナンスから独立させて行うものというより、論理的かつ補完的なパートナー同士であると言えます。データの価値を高めたい組織は、データマネジメントの技術的側面と行動的側面を組み合わせ、データ中心かつデータ主導の体制を目指す必要があります。

 

データガバナンス、データメッシュ、データファブリックの目標は似通っているため、それぞれ独立してではなく、常に一緒に語られるべきであると言えます。ただ、これらの主題は同じものではない可能性があるため、次回以降のブログではその関係をさらに詳しく掘り下げてみたいと思います。

 

1 Seiner, Robert. Non-Invasive Data Governance: The Path of Least Resistance and Greatest Success (Technics Publications, 2014)
2 E-Book, Tittel, Ed. Data Fabric for Dummies (Hitachi Vantara Special Edition)の概要を言い換え

 

本ブログは2022年2月16日のROBERT S. SEINERによるAssociating Data Governance with Data Mesh and Data Fabricの翻訳です。