【パートナーブログ:B-EN-G】単なるグラフ化としてとらえてはいけない「データの見える化」
「データの見える化」は、世の中に登場して20年以上経つテーマです。IT技術の進歩とともにデータの収集スピードと収集量、そして表現力が飛躍的に進歩してきました。
しかし一方で、「ダッシュボード画面は見栄えはいいけど、課題が明確にわかるようになっていない」などという声もちらほら聞こえます。これは果たして表現方法だけの問題でしょうか?
本コラムでは、利用者が納得する「見える化」のポイントを2点お伝えします。
「見やすさ」「わかりやすさ」とは何か
ここからは、弊社でご支援させていただいた事例をもとにご説明します。
ある物流会社様では、荷主ごとにCO2削減をご報告する必要があり、担当者が手集計で対応されていました。それをBIで自動化しようという試みをされていました。ただ可視化するだけではなく、CO2排出量が多い原因を特定し、削減の可能性を検討できるようなダッシュボードも検討することになりました。
下記は最初に地域別の出荷数を把握するために作成されたグラフです。
出荷先の地区(都道府県+市区町村)を棒グラフで表示しています。確かに一番多い地域や順番はわかります。しかし、「配送」という性質を考えたとき、地域のつながりや地勢など欠かせない要素がわかりづらいです。
そこで、筆者(渡邊)はこのグラフを次のように変更しました。
どの地域でCO2排出量が多いのか、一目でわかります。そして、都道府県を画面上で選択すると、その都道府県に所属する市区町村別の出荷台数を見れるようにしたことで、なぜその地域でCO2排出量が多いのか、原因を特定しやすくなりました。
実はこの手前では、削減アクションにはどのようなものがあるか、また、その削減アクションを具体化するには、何をどういう順番で見ていけば問題の把握ができ解決に向けて動けるのか、という課題解決に向けたシナリオを設定しています。シナリオに基づきBIツールを使って可視化しているわけです。
「見やすさ」「わかりやすさ」の根幹は「次の行動につなげるシナリオ」に基づいているということがお分かりいただけるでしょうか。
小さなサイクルと大きなサイクルを回そう
紙面の関係でデータ見える化のステップであるデータ選定やデータ補正の部分は触れていませんが、データの可視化や分析は、次のステップに進んで初めてわかることもあるため、各ステップを行ったり来たりします。その最中に、様々な問題が明らかになってきます。そして、その問題を解決するために、新しい課題を検討していくことができます。もちろん、計画を立てることは重要ですが、試行錯誤しながら柔軟に進んでいくことが可視化の成功の要因の一つだと思います。
また、データを可視化までできたことで満足してしまうのではなく、目的をもう一度見直して、その可視化が価値を生んでいるか評価するということも大切です。
DX推進につながるデータの見せ方
できれば、個別のデータの見える化は、大きな視点ではきちんと経営課題にまで還元できるような構造になっていること、個別の視点では既存の指標にとらわれずより本質的な課題の抽出を求めるようになっていると、会社としてデータによる変化、つまりデジタルトランスフォーメーションにつながってきます。
あなたが「データの見える化」を求められた際には、何を把握し、どう行動を促すためのものなのか、それは経営課題の解決にどうつながっていくのか、を依頼者と一緒に考えることができれば、より有意義な仕事となるでしょう。
B-EN-Gでは、データ分析や、データ活用基盤の構築等、様々な形でデータ活用に向けたご支援だけではなく、システムのデータをより有機的に結合して価値を繋いでいくというデータ中心の取り組み、これを第3のチェーン、「データチェーン」呼んで新たな価値提供領域としております。
ご興味持たれましたら、弊社web「データチェーン」特設サイトを参照いただいて更にご理解深めて頂ければ幸いです。
執筆者
ビジネスエンジニアリング株式会社
ソリューション事業本部データマネジメント部 加藤義弘・渡邊翔也