最高データ責任者(CDO):最初の100日を実りあるものに
Informatica CDO Academy
第2期の申し込みを受付開始
今年に入ってから100日以上が経過した今、振り返るべき時が来ています。今までのところ、あなたにとっての2022年はどうでしょう?目標は達成できていますか?あなたの組織の現在位置は、予想通りでしょうか?
私は2022年最初のブログで、Informatica CDO Academyの第1期についてご紹介しました。最高データ責任者(CDO)向けの、これまでにない革新的な共同学習の機会です。第1期の間に、私たちは業界の講演者やお互いから多くを学びました。
最初の100日が重要
CDOには、データを資産として管理する責任があります。その上で、彼らは市民消費者にクリーンで信頼できるデータを確実に届けるために、組織全体にわたる総体的なアプローチをとる必要があります。この総体的なアプローチの中には、基本的なガバナンス体制の確立、ビジネスの成果の確認、ステークホルダーの意見を取り入れた組織構造の整備、およびデータの課題に取り組むための明確かつ実用的で再現しやすいプロセスの確立などが含まれるでしょう
CDOはまた、ビジネスおよび技術コミュニティのための的確なデータ提供と、ユーザーエクスペリエンスの向上を目指した適切な投資を行えるよう組織を整備し、成功へと導くことができます。その他、ソース-ターゲット間のデータフローやBIレポートなどに関する透明性や連携作業も、CDOが念頭に置くべき事項です。データ品質、共通のビジネス用語、スキャン、検出、プライバシーなどといった、労働集約的なタスクに必要な技術の自動化もここに含まれます。
成功に向けた定番の(または現実的な)ロードマップとは?
CDOが適切なタイミングで適切なデータへのアクセスを提供すれば、チームはデータ主導の意思決定を行うことができます。ところが残念ながら、こうしたアクセシビリティーは依然として実現困難です。最近のIDC Global Chief Data Officer Engagement Survey1によれば、さまざまなチームが必要な全データに各自でアクセスできていたのは、調査対象企業のわずか31%、データの共有と利用を標準的に行っていたのはわずか39%にすぎません。
人材 + プロセス + テクノロジー + X = 成功の方程式の「X」とは?
ベンジャミン・フランクリンの名言にあるように、「計画に失敗するとは、失敗するように計画するということだ。」つまり、この方程式でXを解くなら、X=「計画を立てる」になります。
技術の自動化を含んだデータイニシアチブを策定するなら、CDOの最初の100日間におけるベストプラクティス計画は、次のようなものになるでしょう。
準備段階では、役割と責任の割り当て、優先データドメインへの接続、企業データの全体像を俯瞰できるデータカタログの作成などを行う必要があるでしょう。さらにデータリテラシーを確立するには、データ関係者全体でのビジネス・イネーブルメント計画を立てることが重要です。そこで鍵となるのは、エンドユーザーエクスペリエンスと実際の業務適用という目標を持って主導することです。
計画段階では、優先度の高いユースケースを特定し、主要なビジネスドライバー(カスタマーエクスペリエンス、アナリティクスの運用効率、法規制へのコンプライアンス、デジタルトランスフォーメーションなど)に対応するロードマップのたたき台を作成する必要があるでしょう。
実行段階では、ビジネス用語集によって共通のビジネス言語を確立し、データスチュワードの役割と責任を設定し、データフローをトラッキングするための技術およびビジネス系統をマッピングし、変更管理を行うためにデータ品質ルールやプライバシー基準、ワークフローを確定する必要があるでしょう。初動時に大切なのは、物事を最小限に抑え、無理をしないことです。導入のリスクを抑えることが特に重要だからです。
確立段階では、ユーザーエクスペリエンスと生産性の向上を評価するため、モニタリングを続ける必要があるでしょう。たとえば多くの場合、CDOの最優先事項は、市民消費者にクリーンで信頼できるデータを提供することです。CDOがよく尋ねられる質問は、データガバナンスプログラム/データイニシアチブが成功しているかどうかを、どこで判断すればよいか?というものです。データガバナンスプログラムがうまく機能していると判断できる材料は、以下のとおりです。
- 共通のビジネス言語―企業・組織内の全員が同じ用語を使って意思疎通できる。
- ビジネスのさまざまな活動(レポート作成、予測分析など)およびデータ主導の意思決定のために、高品質なデータを利用できる。
- すべてのデータ定義、データフロー、およびドキュメント化されたコントロールが一元化されている。これによって、CDOは市民消費者と足並みをそろえながら、データ主導型の企業・組織の構築に貢献できるのです。
80対20の法則
パレートの法則2としても知られている「80対20の法則」によれば、特定のイベントの成果(つまりアウトプット)の80%は、全体の20%の要因(つまりインプット)に起因するとされています。ビジネス分野での「80対20の法則」の目標は、潜在的に最も生産性の高いインプットを特定し、それを優先することです。
CDOには、常にビジネスのニーズを満たすデータ品質とその適合性を保証し、業務上の価値創出を確実に遂行する責任があります。ビジネスのニーズが何かを明確に理解し、それを最優先しなければなりません。言い換えれば、あなたは自分のビジネスのニーズを本当に把握していますか?どのニーズが最も重要でしょうか?そうしたニーズが最優先で対処されているかどうかを確認するには?
これを全体の文脈の中で考えるため、CDO Academyの第1期の間(1日目)に、多様な業界および地域(ヨーロッパ、中東、アフリカ、ラテンアメリカ)のCDO15人は、さまざまなビジネスドライバーをランク付けする課題を行いました。以下のリストは、投票結果の比率を示しています。
- 洞察と分析(15%)
- 法規制へのコンプライアンス(15%)
- ビジネス・イネーブルメント(8%)
- デジタルトランスフォーメーション(15%)
- 上記すべて(46%)
驚いたことに当初、グループは直感的に「上記すべて」を選択し、その得票は46%に上りました。しかし、初日の後半を深く掘り下げていくにつれて、各CDOはまずビジネス・イネーブルメント(つまり、データサイロの解体、データパターンの理解、データの意味づけとビジネスコンテキスト内での位置づけ、オーナーシップなど)に重点を置くことが明らかになりました―これこそ全要因中の「20%」と解釈できます。すなわちビジネス・イネーブルメントこそが、分析と効率の向上、法規制へのコンプライアンスの強化、デジタルトランスフォーメーションの推進などにも役立つ、優先的なビジネスのニーズだと言えるでしょう。
CDO Academyでの上記のアクティビティから、私たちはみなパレートの法則を連想しました。
上のような「最初の100日間」計画に加えて、Information Governance WorldMagazineの最新記事『データガバナンス計画を開始するための4つのベストプラクティス』3で、実践的なガイダンスを確認してください。
技術は手段であり、それ自体が目的ではない
『Ten Steps to Quality Data and Trusted Information』の著者であるダネット・ギルブレイ(Danette McGilvray)氏によれば、「技術さえあればデータの問題をすべて解決できると考えるのは、X線照射機があれば健康になれると思い込むようなもの」です。適切な技術は欠かせませんが、とはいえ話はそこで終わりではありません。技術を使いこなしたり、技術への投資から価値を最大限に引き出したりするのに不可欠なデータ、プロセス、人、組織がなければ、手持ちの技術から利益を得ることはできません。
自分らしさを前面に
おそらく何よりも重要なのは、CDOは、データの品質に対する広範な信頼と自信を生み出すために、データ作業のきわめて人間的な側面をうまく処理しなければならないということです。優れたCDOは、デジタルトランスフォーメーションのあらゆる側面において、人々とのコミュニケーション、マネジメント、エンゲージメントの方法を知っているものです。ストーリーテリングに対して魅力的なアプローチを考えること、紛争解決にあたる調停者としての心構えを持つこと、鍵となるステークホルダーを親身に支援すること、全員の当事者意識を定期的に喚起することなどがここに含まれるでしょう。そして最後に、皆のモチベーションを維持するために大切な「ごほうびのニンジン」を見せることも怠ってはいけません。
求めるビジネス成果を提供
これからの100日間で達成したいことは何ですか?お客様を満足させ、金銭的価値を高める製品やサービスを生み出すためのビジョンは?適切なデータに適切なタイミングでアクセスできれば、競争に打ち勝つ戦略を実行し、収益目標を達成し、内部の問題に対処し、ビジネスのチャンスを増やすことができます。
本ブログは2022年5月19日のKASH MEHDIによるChief Data Officers: Make Your First 100 Days Countの翻訳です。