IoT時代のデータ活用

Jul 17, 2019 |
インフォマティカ編集部

IoTとは、「Internet of Things」の略で、日本語では「モノのインターネット」と呼ばれています。スマホやパソコンに限らず、ありとあらゆる物理的な「モノ=デバイス」がインターネットに接続されて、モノ同士がリアルタイムに情報交換することで、遠隔からでも状況を可視化して、あらゆる操作が可能になるという概念であり、それを実現するテクノロジーのことです。センサーを埋め込めば、乾電池1本でもIoTデバイスに早変わります。

デバイスに取り付けられたセンサーは、デバイスそのものや周囲の状況に関するリアルタイムな情報を収集します。例えば、輸送分野における車、鉄道、道路にセンサーを取り付けることで、世界中を走るトラックや鉄道の走行距離、燃費、CO2排気量、経路変更、遅延などの運行状況や車両の不具合の可能性を監視し、各地の交通渋滞や天気の様子まで見えるようになります。 

         

IoT時代のデータ活用

近年、ネットワークテクノロジーと内蔵センサーの高度化、スマホの普及、ウェアラブルデバイスの新規開発などによって、何にでもセンサーを取り付けてIoTデバイスにできるようになりました。また、クラウドテクノロジーによって、センサーから集めた膨大なデータを、ハードウェアの性能やコストを気にすることなく、インターネットを介して、リアルタイムかつ無限に蓄積することができます。

こうした技術発展によって、消費者生活の向上だけでなく、ビジネス効率化やコスト削減、従業員の生産性向上と省力化・省人化、顧客体験の向上、業務の中断や設備故障リスクの回避が可能になり、IoTを利活用できる分野は無限大に広がっています。

実際、IoT市場は年平均成長率17%で拡大し、2021年には11兆円規模に達すると言われています。

 

IoT活用で得られる効果

では、IoTを活用することで、具体的にどのような「改善」が可能になるのかを考えてみましょう。

センサーから収集したリアルタイムな「生きたデータ」を常時監視することで、トリガーとなる事象が起きた時に、デバイスが稼働状況や異常値を担当者にアラート(通知)して次のアクションを促す、あるいはトリガーとなる信号を検知した時に、次の動作を自動的に実行させることが可能になります。

例えば、車両型のIoTデバイスに倉庫内を自動走行させてRFIDタグを読み取ることで、資材在庫を見える化し、ピッキングや検品、補充、夜間棚卸などを自動化して、倉庫業務の生産性、精度、スピードを大幅に高めることができます。

また、設備機械にIoTを導入し、自分の内部状態を報告させることで、「自律的な」点検を実現し、予知保全を行うことで操業停止を回避し、人件費を削減することができます。

建設現場で稼働している重機にIoTを導入してプロジェクト計画と連動させれば、作業の進捗状況を追跡管理することも可能です。

さらに、クラウドに蓄積したデータを、人工知能(AI)やビジネスアナリティクス(BI)ツールを使って分析することで、「モノ」や「人」の動きを理解し、傾向を読み取り、改善余地を可視化して、新たな価値創造につなげることができます。

例えば、会議室にいる人の体温を感知して、空調を自動調整することで、ストレスなく円滑な商談環境を創造できます。

また、小売店舗で顧客の入店と同時にカメラの映像から顔認証して、顧客の消費動向に関する分析データをもとにお勧めの商品やクーポンを配信して「ついで買い」を誘発したり、レジでの待ち時間を最小化して顧客体験とロイヤリティの向上につなげることができます。

多品種少量化の進む製造業では、稼働時間データの分析をもとに生産機械の段取り時間を短縮し、作業現場における資材や工程の配置を最適化することで、市場ニーズの変化するスピードに対応することができます。

IoTとデータ活用の課題

このように、ビジネス効率化や新しいビジネスモデル創造に役立てるために、あらゆるモノをIoTデバイスとして活用することは、アイデア次第でいくらでも実現可能です。

しかし、マルチベンダーが共存する異種混合環境において、IoTデバイスから収集した膨大なデータを分析して活用するに至るまでには、メーカーによって異なる仕様、連携するパートナー企業のシステムとの相互運用性の欠如、取り扱うデータに含まれる個人情報を保護する義務などの大きな壁が立ちはだかります。

データの形式や更新される頻度が異なり、日々大量に発生・蓄積される膨大な量のデータの中から、意味のある本当に必要なデータだけを取り出して、データの整合性と機密性を精査し、データの機密性を保護しながら、ビジネスのために「使えるデータ」にするための仕組みが必要です。

さらには、「いつ、どこで、誰が、何のために使うデータで、他の関連する事象はあるのか?」といったデータの属性情報を、業務のコンテキストに応じてユーザーが理解できるように加工して、誰でも簡単に検索できるような仕組みも必要です。

こうしたデータ活用のためのプラットフォームなしには、IoTデータをもとに、デバイスやその周辺の稼動状態を見える化し、改善余地を発掘して、行動につなげることは難しいでしょう。

IoTデータから新たなビジネス価値を創造するためには、マルチベンダーのクラウド環境で、あらゆる種類のデータを統合して変換することのできる堅牢なデータ管理基盤が不可欠です。

 

まとめ

IoTを実現するテクノロジーの発展によって、今までは考えられなかったような「モノ」からデータを収集し、AI(人工知能)やBI(ビジネスインテリジェンス)を使って分析することで、未開拓の効率化分野を特定し、ビジネスのスピードで迅速に行動し、新たなビジネスモデルを創造することができるようになりました。データはもはやビジネスの新しい通貨です。データをいかに活用できるかどうかが、これからのビジネス競争の行方を決める最大の要因となるでしょう。