優れたデータ品質で信頼性の高い洞察を小売業に提供する

Aug 23, 2022 |
インフォマティカ編集部

データ主導の組織では、優れたカスタマーエクスペリエンスの提供、運用の整流化、新しい製品やサービスによるイノベーションの促進など、様々な面に役立てるべく、アナリティクスの活用を重要視しています。なかでも小売業者は、アナリティクスによってサプライチェーンの最適化、在庫管理、価格の最適化などを行い、業務上の価値を高めています。洞察の質を左右するデータの品質を維持することは、小売業者にとって最大の関心事であると言えるでしょう。

小売業では、オンプレミスやクラウドソースなど、さまざまな異種データソースからの洞察を通し、顧客、販売、マーケティング、運用にわたるビジネスを包括的に把握しています。顧客とのやり取りを把握し、情報に基づいた意思決定を行うために、小売業では通常、オフラインでの顧客の購入パターンをオンラインアクティビティに追加しています。

市場のトレンドは変化し続けるため、小売業者は現在のトレンドを継続的に分析し、推奨のアルゴリズムに必要な変更を加えなければいけません。特定のイベントに関するオフラインデータは、店舗のマーチャンダイジングや人員配置の改善にも役立ちます。ただし、データを結合・変換すると、そのたびにデータ品質に関する問題が増加する可能性があります。貴重な洞察を得るには、企業データを利用する前に品質を細かく査定し、そのデータに応じた改善作業を行うことが不可欠になります。

データ品質が重要なのは、事業部門の成長を担当する小売アナリストはもちろん、データを使ったモデル学習によって製品の推奨・解約に関する分析などのアルゴリズムを開発するデータサイエンティストにも言えることです。

本ブログでは、小売業者が業務上の価値を推進するために、アナリティクスやAI/MLの取り組みを実施する前になぜデータ品質を査定すべきなのか、その理由をご説明します。

 

1.サプライチェーンの最適化

小売業では、送料無料のサービスを追加するなど、見込み客を引き付けてブランドの差別化を図るために多額の費用を投じています。しかし、品質の低いデータが原因で住所にアパートの番号情報がない場合や無効な郵便番号が表示されていた場合、配達が遅れたり失敗したりする可能性があります。
それだけでなく、配送の問題がカスタマーエクスペリエンスの低下や製品の返品につながることで、小売業者にとって大きな損害となるケースもあります。

このような場合は、すべての需要に対応しようとやみくもに関連資料を割り当てるのではなく、間違った住所や修正する必要がある住所を事前に特定する綿密なアナリティクスを備えることで利益につなげることができます。
適切なデータ品質評価に基づいてサプライチェーンを最適化すれば、誤住所への配送がなくなり、多額のコスト削減につながります。

顧客の住所データを正確かつ最新の状態に保つことで、店舗に最適な場所を選択するのにも役立ちます。
まず、顧客トラフィック分析によって、ほとんどの注文が行われるエリアを確認することができます。そして、単純な費用対効果の分析を行うことで、店舗を配置すべき場所を定めることができます。さらに、このようなデータに最新の競合店データを加えることで、小売業者が顧客にサービスを提供するのに最適な場所を選択するのにも役立ちます。

このようにデータセットを強化することで、予測アナリティクスを通してピーク時や繁忙期に店舗へ効率的に担当者を配置することができるようになり、サプライチェーンのさらなる最適化が実現するのです。

また、交通パターンや気象条件に関するデータを用いて予測アナリティクスを実行し、最短時間で納品が行える最適ルートを学習している小売業者もあります。
サプライチェーンアナリティクスは、間違いなく企業の繁栄を支えるものであり、アナリティクスに活用されるデータの品質の要となっています。

 

2.在庫の最適化と管理

消費者動向の変化が激しい現在、小売業者はより良いサービスを提供するために最新の状態を維持することが求められています。
小売業者は、季節に応じて特定の商品を仕入れ、売れ残りや大幅な値引き販売による損失を避けるために、適切な在庫を確保する必要があります。予測の精度は、顧客データとサードパーティのデータソースがすべての面で完全かつ正確であるかどうかに大きく左右されます。過去の販売データを活用することで、手元に必要な在庫の量や商品を保管するために必要なスペース、さらには店舗に必要なスタッフの人数を予測することもできます。
そのため、データ品質の健全性を高いレベルに保つことが小売業者にとって不可欠になっているのです。

 

3.マーケティングキャンペーン効果の向上

関連するコンテキストをデータに追加すると、データのエンリッチ化が行われ、データ品質が向上します。顧客の行動、支出パターン、買い物をするのに適した時間に関する情報を充実させることで、適正な消費者を適正なタイミングでターゲットにすることができます。これにより、さまざまなマーケティングキャンペーンの実行コストを最小限に抑え、代わりに最も関連性の高い顧客のみをターゲットとするため、ROIが向上します。

顧客の好みに関する豊富なデータを備えることで、優れた顧客サービスを提供し、売り上げを伸ばし、消費者向けの新しい製品やサービスを考案するのにも役立ちます。たとえば多くの小売業では、月の第一週目に給料が支給されるサラリーマンに対し、タイミングを合わせた割引サービスを提供しています。ただ、特定の顧客がどのクレジットカードを使用しているかなど、更なる情報があれば、オファーをより効果的に調整することが可能になります。

価格の最適化:さまざまな消費者の属性や購買力に関して把握することも、小売業者が最適な価格で製品を販売するのに役立ちます。たとえば、大学生のグループの場合は価格を低く抑え、ロイヤルティプログラムや紹介プログラムを展開する一方、サラリーマンや企業アカウントのグループの場合、一括割引などのオファーを検討することができます。ただし、このモデルが成功するのは、利用可能であり、適切かつ関連性の高い情報を使用している場合に限ります。古いデータ、無効なデータ、不正確なデータなどが存在した場合、価格設定や最終収益に直接的な影響を及ぼし、業務の中断につながる可能性もあります。

 

4.カスタマーレビューによる商品の改善

ほとんどの顧客は購入を決定する前に製品レビューを確認します。そのため、小売業者にとっては、顧客が製品について投稿したフィードバックに注目することがとても重要になります。
レビューを分析することで、小売業者は必要に応じて商品を改善し、商品戦略を調整することができます。

ただし、レビューに何かしらの不一致がある場合は、商品を改善する基盤として使用する前に明らかにしておく必要があります。たとえば、不満を抱いた顧客があまりにも多くの悪評価をさまざまなチャネルに書きこむことで、商品マネージャーの意思決定に影響を与える可能性があります。こういった場合は、少なくともレビューの独自性をチェックしたうえで、適正な量のフィードバックを適切に重みづけできるようにする必要があります。

 

5.データの整合性によるブランド価値の向上

新しいチャネルを利用したプロモーションを行う場合、顧客が期待するのは、すべてタッチポイントで一貫したエクスペリエンスが提供されることです。そのため、小売業者は、さまざまなデータアナリティクス手法を通じて顧客に届く洞察や情報が、どのチャネルでも同じであることを確認する必要があります。オンラインとオフラインの店舗それぞれで異なるビジュアルマーチャンダイジングを行っていた場合、顧客が混乱してしまう可能性があります。あらゆる製品データはもちろん、顧客データ(注文、お気に入りの製品、パーソナライズされたビューなど)も含め、チャネル間で類似している必要があるのです。

たとえば、さまざまなソーシャルメディアのハンドルから得たリアルタイムのストリーミングデータを活用し、製品やサービスに関するセンチメント分析を消費者に提示することができます。しかし、この分析に活用するデータには一貫性があり、完全かつ正確であることを確認する必要があります。統一されたオムニチャネルエクスペリエンスを顧客に提供するために小売業者が注視するべきなのは、データの質を左右する指標である「整合性」なのです。

データの品質を維持することは継続的な作業であり、その中にはデータソース自体を確認することも含まれています。修正を後回しにした場合、結果としてより高い出費を強いられることもあります。また、データの品質を大切にしなければならない理由は優れたカスタマーエクスペリエンスの提供や収益の向上のためだけではありません。もちろんこれらは重要ですが、データ品質を維持することで、純損益も向上するためです。サプライヤーは小売業者にとって不可欠な存在であり、企業は原材料の調達や製品の供給と流通に最適なベンダーを選択するべく、多くの事前調査を行います。ベンダーに関する情報が最新・正確・完全であれば、小売業者はビジネスニーズに最適なサプライヤーを選択することができるようになります。

 

ガートナー社は、「2022年までに、組織の70%がメトリックを使用したデータ品質レベルの追跡を厳密に行い、品質を60%改善させることで、運用リスクとコストを大幅に削減する」と予測しています。1

現在、前例のない革命が起きている小売業界では、注文の多い消費者へ常に柔軟に対応していく必要が高まっています。データ品質の問題を早い段階で把握し、迅速に対処することで、小売業者は相互に関連した洞察を得てビジネスを成長させることができるのです。

データ品質の重要性や、データ品質の基礎知識についてはこちらの動画でも詳しくご紹介しています。

 

1出典:SmarterwithGartner、 “How to Improve Your Data Quality”、2021年7月14日、https://www.gartner.com/smarterwithgartner/how-to-improve-your-data-quality

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本ブログは2022年7月1日のDIVYA PRAKASHによるDelivering Trusted Insights for Retailers with Superior Data Qualityの翻訳です。