【パートナーブログ:B-EN-G】彼を知り己を知れば百戦殆うからず

Aug 25, 2021 |
インフォマティカ編集部

はじめに

言わずと知れた『孫子』の兵法の一節です。『孫子』はビル・ゲイツ氏や孫正義氏など世界のトップビジネスパーソンも愛読していると言われていますが、中でも特に有名な上記の一節、皆様は普段のビジネスシーンの中で意識されていますか?

筆者は近年データマネジメント領域でお客様のご支援をさせて頂いておりますが、以前は、スクラッチからERPまで様々な業務システム構築に携わってきました。多くのプロジェクトを通し見えてきたことは、お客様の経営層のみならずシステム部門においても、自社のITシステムやビジネスにおける、現状や将来計画の全体を正確に把握できていないまま新規・追加のシステム導入に踏み切られる例が非常に多いということです。その結果、インフラやアプリケーションを選定・購入していざ導入プロジェクトが開始、となった後に、自社システムや取り扱うデータが想定外の状況になっていることが発覚し、QCD(品質・コスト・期間)に非常に大きな影響を及ぼす問題となることも少なくありません。

SIerがシステム導入・構築の支援を開始する際、通常は、まず関連するシステム・データ状況のAs-Isの調査・分析を行います。特にデータマネジメント領域のプロジェクトでは、As-Isの調査範囲は全社全システムに及ぶことが多くなります。その調査過程で、以下のような問題が発覚することがよくあります。

・社内システムの総数や管理組織・担当者が管理されておらず、As-Is調査自体に支障をきたす。

・各システムの役割・スコープが明確になっておらず、システムや業務の重複が発生している。

・同じ業務でもグループ会社、事業部、営業所間で異なるルール、コード体系などを使用しており、かつその相違が明確になっていない。

・現場要件とシステム仕様の乖離を解消するため現場独自の運用がなされており、それをシステム部門が把握できていない。

筆者が担当したデータマネジメントプロジェクトでは、具体的に以下のような問題に直面したことがありました(内容はアレンジしており、弊社お客様実例とは異なります)。

・同業同士で合併し、顧客マスタを名寄せしマーケティングに活用するプロジェクトが発足したが、再分社の可能性も出てきたため、組織を跨ぐ顧客マスタの参照自体がNGとなった。

・同一の全国規模の顧客に対し、各地の営業所の販売詳細データを本社に集約・分析しようとしたところ、営業所ごとに管理単位(ピース、ケース、パレット等)も販売価格ルールも異なっていたことが発覚した。データ分析を行う以前に、同一顧客に対する販売ルールの統一自体が急務となった。

・MDM(マスターデータ管理)システム構築プロジェクト発足後、顧客マスタの品質プロファイリングを行ったところ、手作業によるメンテナンス作業が必要な重複や矛盾データが数万件あることがわかった。メンテナンス工数が数百人日分発生する計算となり、明らかに予算がオーバーしてしまった。

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ERPなどの業務システムを導入する際は業務プロセスを中心に考えることが多く、その場合はプロセスそのものをシステムにより自動化・簡略化することで一定の導入効果を得られます。しかしデータマネジメント、特に上記具体例のようなデータガバナンスやデータ品質を整備するプロジェクトについては、使用するITツールの機能の要否よりも、組織・要員・ルールなどの根本的な課題を解決することが重要であり必要不可欠です。

前述の具体例からもお分かりの通り、データマネジメントに取り組む際、初めからツールを特定しビッグバン的にシステム化するやり方はリスクが高いため、以下のように段階を踏んで着実に進めることをお勧めします。

 

1.データマネジメント成熟度アセスメントを実施し、その結果を基に実行可能なロードマップを作成する

 

データマネジメント知識体系ガイド(DAMA-DMBOK)第二版では、以下のようなデータマネジメント成熟度モデルの例が示されています。このようなモデルにおける自社の段階を把握し、この段階を一段ずつ着実に引き上げる現実的なロードマップを作成します。

 

2.改善の実行はいきなり全社対象、新規ツールで行うのではなく、まず特定の組織・業務をターゲットに、人間系や既存ツールを活用したシミュレーションを行う

 

あるお客様では当初MDMやデータカタログのツール検討をされていましたが、ツール選定の決め手をうまく見出だせなかったことから、手順として、まず既存の可視化ツールで可能な範囲のデータを集め、カタログ化し、現場ニーズの初期対応と課題の洗い出しを行いました。その結果を踏まえ、再度本格的なツール導入計画へつなげました。

段階を踏みつつ根本的な課題を明確化することは、インフォマティカ製品をはじめとしたデータマネジメント関連アプリケーション導入にも非常に重要です。これらは業務アプリケーションのような具体的・標準的な業務処理を提供するものではなく、よりコンセプチュアルなツールです。自社の状況や方向性にマッチしたコンセプトを持つツールを見極め、そのツール上で実現する処理は自分たちで作り上げていくことが、人間系も含めた『データマネジメントシステム』構築成功の鍵となります。

まず自社の状態を冷静に把握すること、そのために、社外のサービスを活用するのは有効な手段の一つではないでしょうか。

B-EN-Gは上流コンサルティングからシステム稼働まで一気通貫のデータマネジメント知見を「兵法」として、皆様のデータマネジメント課題の解決をご支援いたします。


ビジネスエンジニアリング株式会社(B-EN-G)

ソリューション事業本部デジタルエンタプライズ本部データマネジメント部 シニアコンサルタント 加藤義弘

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