金融サービスのカスタマーエクスペリエンス戦略のトップ

最終公開日 : May 20, 2022 |
インフォマティカ編集部
インフォマティカ編集部

金融サービスのカスターエクスペリエンス(CX)を向上させる必要性は、ただの決まり文句ではありません。銀行や保険から地方の信用組合に至るまで、金融業界全体にとって最上級の優先課題です。金融情報サイト「The Financial Brand¹」によれば、今日の世界で金融機関のCXを高めるには、新しいデジタルソリューションやAI(人工知能)、クラウドやデータなどに対して投資することが肝要だといいます。なぜなら業界の中で、カスタマーエクスペリエンスに投資する金融機関こそが顧客からの最高評価を得ており、顧客内シェアも高く、そして既存の顧客に対する商品やサービスのアップセル/クロスセルでも成功を納めているからです。

 

保険業界にも同じことが当てはまります。マッキンゼー²によれば、「優れたカスタマーサービスを提供する保険業者は、同業他社よりも高い利益性を誇る」のです。考えてみましょう。顧客が満足した場合、手続きが簡単で手軽な会社とそのまま取引を続け、そうした金融機関を友人や家族に勧める可能性が、きわめて高いのです。

 

金融サービスにおけるカスタマーエクスペリエンスを向上させる3つの方法

·           次世代データアナリティクスや、AI/ML(機械学習)を用いたモバイルアプリのデータマイニング。銀行や保険会社は今や、そのモバイルアプリソリューションによって生成された膨大なデータを活用することができます。まず、クラウドのデータレイクの中からデータを捕捉します。次に最新のAI/MI駆動型分析アプリケーションを使って、そのデータをマイニングすることによって、新商品の開発、既存プロセスの最適化、顧客の自発性の向上、そして最終的にはCX全体の改善を実現できるのです。

·           オンラインの新規リモートサービスへの投資。金融機関は対面のサービスからオンラインでの関係構築へ、スムーズな移行に取り組んでいる最中です。そのためには、ていねいなチュートリアルやインタラクティブな動画、ウェビナーなどの啓発コンテンツという形で、顧客サポートを強化することが必要です。こうしたインタラクティブな、オンラインのリモートサービスは、ITに慣れ親しんでいる若い顧客を惹きつけるのに役立ちます。若者層は、純粋にブランドイメージだけでビジネスを選ぶことが少ないからです。

·           顧客とのやり取り自動化の推進。ビジネスの自動化やロボット、AIの進歩とともに、金融機関は顧客との関わり・取引の方法について、定義し直しているところです。オンラインでの支払や最近の保険請求のステータスについて、リアルタイムで知りたいなどといった顧客のサービスリクエストが、人間ではなくテクノロジーによって処理されるケースは、ますます増えています。

          

金融サービスのカスタマーエクスペリエンスに影響をあたえるデータの課題トップ6

残念ながら、データに関する数々の難題がいつまでも解決できなければ、成功は達成できず、ビジネス価値も獲得できないかもしれません。

·           アクセシビリティの欠如。CXの向上を目指した以上のような投資は、こうしたシステムやアプリケーションが必要なデータにアクセスできなければ、成果を生まないでしょう。人の手によるデータ統合は、複雑で脆弱である可能性があります。さらにデータの量、種類、フォーマットや、企業の業務に必要な端末など、すべてに対応できるよう設計されたツールが欠かせません。

·           顧客中心視点の欠如。CXを向上させるために、金融機関には大手アカウント中心・ポリシー中心に留まらない情報が必要です。必要なのは、顧客との関係全般に関する情報です。残念ながら、既存のシステムやアプリケーションは、サイロ化されていることが多いのです。これでは、顧客の情報は他の顧客情報のソースとは別々に保持されることになります。

·           有効で信頼すべきデータ。顧客の問い合わせやサービスリクエストを適切に処理するには、企業・組織は有効な電話番号、メールアドレス、住所などの情報にアクセスする必要があります。コンタクト情報が変更されたり、無効になったりすれば、顧客に連絡を取るのが難しくなる場合もあります。それは、カスタマーサポートやマーケティング、営業活動などのコストを引き上げる要因となり、CXに悪影響を与えるかもしれません。

·           保護されていない機密データ。現代社会にはかつてないほどデータが溢れており、オンプレミス・クラウド環境の双方で、システムやアプリケーションの数は増え続けています。一方犯罪者たちは、利益目当てに機密データを漏洩させようと常に狙っています。顧客データの侵害は、財政上のコストを増やすだけでなく、企業の信望をも傷つけかねません。顧客が他の企業に乗り換える決め手ともなりかねないのです。

·           無効で不正確なデータ。顧客のニーズに対応する上で低品質のデータに頼るのは、自分の首を自らしめるようなものです。企業・組織はデータ品質の問題に関して、カスタムコードのソリューションや、IT専門の事務職が設計したツールを使って、何十年もただ闇雲に格闘してきました。

·           データ利用側の知識の欠如。最後に、データを利用して業務を行う者は、業務に必要なデータを正しく理解する必要があります。既存の保険契約者をサポートする保険外交員から、企業向けクレジットに関して新しい法人顧客をアシストするオンボーディングマネージャーまで、社内のデータ利用者なら例外はありません。こうした人々にとっては、データに関する単純な質問に答える上で、助けとなる情報にアクセスすることが必要です。

  • 顧客のサービスリクエストに応じるために、どのデータを使えばよいか?
  • そのデータは何を意味しているか?
  • このデータはどこから来ているのか
  • 疑問があった場合には誰に尋ねればよいか?

 

カスタマーエクスペリエンス向上のために重要な3つのステップ

1.       現在のデータ統合アプリケーション統合データ品質マスターデータマネジメントおよびデータガバナンスなどのプロセスと手法を、再検討してみましょう。カスタムソリューションを使って、開発担当者かデータエンジニアが実施していますか?現代ならではのデータ関係の難題に対して、レガシーツールで取り組んでいますか?どちらのやり方もうまく行かず、データマネジメントのコスト増大につながることが多いものです。もっと深刻なのは、社内のデータ利用者が業務上必要とするデータを、どちらのやり方でも提供できないということです。

2.       データ戦略を、各部署全体のCX向上のニーズに対応できるよう定義し、調整しましょう。顧客のニーズに応えるため、現在そして将来にわたってどんなデータが必要かをしっかりと理解しましょう。特定のデータ要素がなぜ必要かという企業の要請をドキュメント化して、それを他の人にもアクセスできるようにし、さらに、誰が顧客対応に関係しているのかを把握しましょう。データマーケットプレイスは、日常的にデータを利用する社員が、疑問への答えを見つけたり、必要なデータにアクセスしたりするのに適したやり方です。

3.       データ中心の企業文化を創出し、育てましょう。社員が顧客のニーズに対応する中で、よりよい意思決定をするためにデータを利用するよう、方向付けを行いましょう。これによって、データの価値を高め、それをただ取引ややり取りの副産物として扱うのではなく、企業の最優先事項の実現のために、役立てることができるのです。

インフォマティカの銀行、金融機関、保険業向けのソリューションについて、詳しくはこちらをご覧ください。6/15開催の「Informatica World│Japan」では最新のデータマネジメント事情をお届けいたします。是非ご登録ください。

 

¹https://thefinancialbrand.com/133796/banking-industry-outlook-trends-challenges-for-2022/
²https://www.revechat.com/blog/insurance-customer-experience/

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本ブログは2022年4月22日のPETER KUによるTop Financial Services Customer Experience Strategiesの翻訳です

First Published: May 18, 2022