MDM(マスターデータマネジメント)のメリットと活用方法とは

最終公開日 : May 17, 2022 |
Akira Matsubayashi
Akira Matsubayashi

ビジネスの拡大、買収等により企業の規模が大きくなるにつれて、企業の貴重なデータ資産を各種システムに分散して管理されるケースが多くみられます。各業務を効率化するため、個別最適化した業務システムが乱立する、いわゆる“システムがサイロ化された”状態です。これは企業全体としてみた場合、業務システムが分散されているだけでなく、データ自身もサイロ化していることを意味します。こうなってしまうと、企業の貴重なデータ資産である、顧客、製品、ビジネスパートナー、サプライヤーに関するデータも分散して管理されます。不整合や重複、形式が異なるなど、どの業務システムのデータが正しいのかよくわからない、不健全な状況を生んでしまいます。

これらの課題を放置してしまうと、いくつかの弊害が発生します。
例えば、同じ製品であるのに各業務システム間で異なる製品コードを割り当てて管理してしまうと、システム全体を横串しにした精度の高いデータの分析を阻害することになり、経営判断に大きな影響を与える結果となります。

また、とある業務システムで重複した顧客データをそのまま気づかず放置してしまうことで、同一の顧客に2通DMを発送してしまうなどのリスクも抱えることになります。

このような問題を解決するには2つのアプローチが考えられます。ひとつは、業務個別に最適化されたシステムを廃止し、ひとつのパッケージを導入しモノリシックなシステムの中でデータを管理する手法です。ただし、このアプローチは、単独のパッケージベンダーにロックインされる心構えが必要であり、時代に合ったクラウドサービスを色々取りいれながら、システム全体を最新化するアプローチを捨てなければなりません。

そしてもうひとつのアプローチが、個別最適化された各種システムはそのままにし、マスターデータ管理(MDM)とシステムを連携させて、貴重なデータをMDMに集中管理させる手法です。

 

MDMのメリットとは

MDMでは、型や、桁数、コード体系、構造もバラバラな各種システムのデータを、クレンジング・名寄せ等したうえで、MDM上でマスターデータとして集中管理し、BIなどの分析システムに配信したり、各業務システムに還元することができます。

また、社内の各種システムから収集し整理したマスターデータだけでなく、関連するSNSのデータや分析結果も活用し、マスターデータとともに単一のビュー(画面)で提供する次世代のMDMの仕組みも活用が進んでおります。例えば、顧客の情報であれば、顧客とのやりとり、顧客がSNSでどのような情報を発しているか、顧客がどのような人とつながっているかなど、システム由来のマスターデータとそれ以外のデータを単一のビューにマッシュアップすることができるのです。その結果、顧客体験価値の向上や、より高度なマーケティング・営業活動に活用に繋げることが出来ます。

 

MDMの活用事例

では実際に各企業ではどのような活用をされているのでしょうか。

インドネシア最大のコングロマリットのLIPPOグループは、1億2000万人以上の顧客に対して、リテール業、不動産業、金融業、メディア業、ヘルスケア業など30を超える事業を展開しています。

同社は各事業でそれぞれの仕組みを持ってビジネスを展開していたため、LIPPOグループ全体のデータがサイロ化していました。そこで、LIPPOグループとして顧客のニーズを把握し、適切な1to1の顧客体験を提供することが困難な状況にありました。そこで、顧客に対する理解を深め、より良い顧客体験を提供するためにデジタルコンシェルジュプラットフォームを導入。その一つとしてInformatica MDM製品を採用いただいています。今後さらなるサービスの拡充とグループ全体のロイヤリティ向上を目指しています。

最後に

このようにMDMは社内のシステムの統合や分析に必要不可欠なデータ連携のソリューションだけでなく、マスターデータを単一のビューに視覚化し高度な営業活動を手助けすることが可能となるのです。

カスタマーエクスペリエンスの実現やMDMへの知識を深めるために、こちらの資料もご参考ください。

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First Published: Oct 02, 2019