顧客データを最大化するための7つのステップ
多くの企業は、事業活動に伴ってさまざまな顧客データを収集しています。集めた顧客データは「質の高いカスタマーエクスペリエンスを提供する」ために使われることを目的としている企業が多いものの、企業側の想いや理想とは裏腹に、それらの顧客データが実際に顧客に満足を与えているケースはあまり多くありません。
では、多くの企業で顧客データが十分に活用されていないのはなぜでしょうか?どのようにすれば顧客データの力を最大限に引き出して、顧客が期待する品質と一貫性を備えたカスタマーエクスペリエンスを提供できるのでしょうか?
カスタマーエクスペリエンスに影響を与える顧客データ
競争が激化するビジネス環境において、顧客を維持していくことは大変なことです。これまで商品やサービスを売り切りで行っていたビジネスは、もう終わりを迎えようとしています。これからは、体験、つまりカスタマーエクスペリエンスを売る時代になってきます。そうすることで持続的に顧客との信頼関係を構築し、顧客のロイヤリティを高めることができます。まさに大手企業を中心に行われているサブスクリプションビジネスがその方法です。そこで重要になってくるのが「顧客データ」です。
顧客とのタッチポイントを増やし、顧客のデータを取ることで新たなサービスに展開することができます。例えば、オンラインでの動画配信サービスを考えてみてください。顧客の視聴履歴や行動のデータを活用し、新たなサービスに活かしています。ビジネスの成功のカギはデータ活用と言っても過言ではありません。
ところが多くの企業ではデータがサイロ化し、相互に連携していないという課題を抱えています。データ連携できなければ、既に購入している製品の案内を送ってしまったり、クレームを受けた後に的を得ないキャンペーン情報を送るなど、ロイヤリティを高めるどころか企業と顧客の関係を「崩壊」させてしまうこともあります。
カスタマーエクスペリエンスを高める顧客データの「7つのステップ」
顧客データの真の力を引き出し、カスタマーエクスペリエンス向上の基盤とするためには、次の7つのステップを実践する必要があります。
1.顧客データを連携させる
まず散在するデータを1か所で連携させることです。それにより、顧客がどのチャネルから問い合わせや購入をしてきても、各担当者が顧客の個人情報や利用しているサービス、請求履歴などを瞬時に把握することができます。
ただし膨大な量のデータを扱う企業にとって、手作業でデータを連携することは時間・コスト面において非常に困難です。そのため、データ処理を自動化するツールの導入が欠かせません。
2.顧客データの品質を高める
次は、データのクレンジングです。顧客の職業や住所、電話番号、購買傾向など、特に変更されやすいデータは常に最新の状態に保たれる必要があります。そうすることで企業全体として正しい意思決定が可能となり、各担当者レベルでも、顧客データを扱うアプリケーションへの信頼が醸成されるのです。
なおこの作業も、自動化ツールを利用することで大幅に効率化できます。
3.顧客データをマスター管理する
その次は、単一の信頼できるデータ(顧客プロファイル)の集中管理です。複数のシステム(アプリケーション)に存在する重複データは、すべてマスターデータに統合される必要があります。そうすることで顧客との接点を持つ担当者すべてが、同一の顧客データに基づく一貫性のある対応を行えるようになります。
4.顧客データと他のデータを関連付ける
顧客データをマスター管理した後で重要になるのが、顧客に関連するあらゆるデータの紐づけです。顧客に関連するデータとは、たとえば顧客が購入した商品・サービスに関するデータ、購入チャネルに関するデータ、担当者についてのデータなどが挙げられます。
顧客本人だけでなく、顧客に関わるすべてのデータを統一的に照合できるようになることで、これまで見逃していた販売機会(アップセルなど)の発見にもつながります。
5.顧客データをエンリッチ化する
その後、外部ソースから入手したデータで顧客データを補完・強化します。その際どのようなデータを組み込むべきかは、顧客のニーズによって異なります。
なおデータのエンリッチ化は、必ずマスターデータに対して行うことが重要です。
6.顧客データを配信する
そして、統合されエンリッチ化された顧客データを、システムや担当者に配信することです。それぞれのシステムや担当者には独自の役割や目的があることから、配信されるデータはその役割や目的に応じて最適化されたものが望ましいでしょう。
7.顧客データを管理する
最後は、データを管理するためのポリシー・標準の作成です。カスタマーエクスペリエンスをめぐる企業同士の競争を勝ち抜くには、社員が一丸となって質の高いデータを収集し、維持する必要があります。そのためにも、適切かつ全社的な基準は欠かせません。
インテリジェントな顧客データ管理で他社と差別化を図る
7つのステップは、企業が持つ既存のデータ資産を整理し、誰もがデータを最大限に活用できる「インテリジェントな顧客データ管理」を実現します。インテリジェントな顧客データ管理は、他社との差別化を容易にし、自社の競争力を高めます。