データ検証が重要な理由:小売業に関する3つのリスク

最終公開日 : May 17, 2022 |
インフォマティカ編集部
インフォマティカ編集部

年末のホリデーシーズンまで、あと数週間。

知識や経験を兼ね備えた小売業者は、今がまさにピーク時に向けた計画を立て始める時期だと認識しているはずです。おそらく、年末に取り扱うキャンペーンや販売について色々と考えている企業も多いかと思います。

しかし、データ検証についてはどうでしょうか?プロモーションの成功に不可欠となる正しい連絡先データ、あなたの組織にはきちんと備わっていますか?

小売業において、ピーク時に予想していた売り上げが得られなかった場合、どのようなことが起こるでしょうか?数年とまではいかないかもしれませんが、数カ月にわたって複数のビジネスプランや収益目標に影響が出る可能性はあるでしょう。連絡先データの正確性を保証するデータ検証を行わなかった場合、こういった状況に陥りやすくなります。もちろん、時には悪天候や運送業者の遅延といった不可抗力が原因となる場合もあります。しかし、連絡先データの品質に関しては、データ検証を通してしっかりと管理することができます。

デロイト社の調査によると、今年のホリデーシーズンの売り上げは、小売売上高は最大9%、eコマースは最大15%増加すると予測されています。

オンラインや店舗での売り上げを促進するためには、顧客とのコミュニケーションがとても大切です。しかし、小売業において真のリスクとなるのは、無効な連絡先データが存在することです。

 

顧客の電子メールと住所データの検証

顧客とのコミュニケーションのなかで、投資収益率(ROI)が最も高くなるもののひとつが電子メールです。また、郵便も同じくらい不可欠なコミュニケーション方法です。

正確な住所データがない場合、顧客の希望に沿うタイミングで荷物を届けられない可能性が高くなります。

しかし、データ検証を行うことで、電子メールや住所のデータが正確であることが保証され、顧客の期待に応えることができます。また、コストを削減し、一年で最も忙しい時期の収益目標を達成することも可能になります。

 

小売りのピークシーズンにおいてデータ検証が重要である理由

ピークシーズン中、マルチチャネルの小売業にとって重要となるのが電子メールです。電子メールは、主要なプロモーションに関して顧客とコミュニケーションをとる最善な方法と言えます。たとえば、ブラックフライデー(感謝祭の日である11月第4木曜日の翌日の金曜日)に電子メールを送り、ウェブストアや店舗のお得な情報を知らせることができます。また、サイバーマンデー(感謝祭の連休明けの月曜日)では、電子メールを送ることでオンラインの販売を促進させることができます。12月末にはホリデーシーズン最後の駆け込みとしてのお知らせメールを送る場合もあるでしょう。

それだけに留まらず、ホリデーシーズンが終わった後もその後の販売や値下げ商品に関する情報が顧客にもたらされます。

データ検証を行わなかった場合、小売業者は顧客に対してこのようなアピールをする機会を逸してしまうことになります。ホリデーシーズンのプロモーションに失敗すると、在庫に大量の商品が残ったままという悲惨な状態に陥りやすくなります。

残念ながら、電子メールのコミュニケーションに関しては、顧客の連絡先データが無効であるという問題がよく起こります。ピークシーズンを迎えると、多くの小売業者が電子メールの配信を増やします。レガシーデータを含めて、その時点で保有しているすべての連絡先へ配信する傾向が高いのですが、こういった行為が原因で企業の評判を下げてしまう場合があります。

 

電子メール送信者として低い評価を得た結果

連絡先リストへ電子メールを送っている小売業者が、送信者として低い評価を受けた場合、企業の規模に関わらず顧客と連絡がとれなくなるというリスクがあります。実際に、電子メールが受信ボックスに配信されなかった場合の83%は、送信者の評価が低いことが原因です。これまでの傾向を見ても、大型連休は他の時期と比べ、多くの電子メールがブロックされたり、迷惑メールフォルダに振り分けられたりしています。

送信者としての評価が低い場合、電子メールがブロックされ、顧客に届かなくなる可能性があります。さらには、評価が低くなることはクレジットスコアの低下も示唆しています。クレジットスコアが低下すると、金融業界でできることの範囲が狭まります。つまり、送信者としての評価が下がれば電子メールでのマーケティングキャンペーンが制限されてしまうのです。

送信者としての評価の低下は、その企業に深刻な影響を与えます。顧客と連絡がとれないと、売り上げも低迷します。インフォマティカはこれまで、フォーチュン1000社に含まれる企業をはじめ多くの小売業者から話を聞いてきました。それぞれの小売業者が、データ検証や電子メールの健全性管理といった最新のベストプラクティスを活用して電子メールの送信方法を変えています。無効もしくは疑わしい電子メールアドレスを見つけ出せば、そこに連絡をとる前に削除することができます。

 

小売業者がデータ検証を行わなかった場合のリスク

リスク#1:スパムトラップ

スパムトラップとは、すでに使用していないメールアドレスを用いた機能です。こういったアドレスを本来の所有者の代わりに電子メールのサービスプロバイダー(Gmailなど)が管理し、スパム対策に活用します。

そして電子メールのサービスプロバイダー(ESP)は、そのアドレスに届く電子メールはすべてスパムメールであると判断します。

元の顧客がそのメールアドレスを使用していない場合は、小売業者やその他の電子メール送信者は連絡先リストからそれを削除するべきです。なぜなら、たったひとつのスパムトラップに電子メールを送信しただけでも、送信者としての評価を落とす可能性があるからです。

こういった状況に陥る可能性は、企業の電子メールリストがひとりひとりの顧客から有機的に集められたものだった場合は低くなりますが、リストを購入していた場合はい大幅に増加します。インフォマティカのベンチマーク調査では、「スパムトラップ」のカテゴリーに分類される電子メールアドレスが、平均してデータベース全体の約1%存在することが判明しています。

ほんのわずかな割合に思えるかもしれませんが、これによってリストの残り99%に対する努力が水の泡になってしまう恐れがあります。

有機的にリストを獲得した場合でも、ある特定のスパムトラップに陥る可能性があります。その原因となるのが、電子メールアドレスの入力ミスによって発生するトラブルです。スパムトラップでは、人気のあるESPの一般的なドメイン名を打ち間違えているアドレスを登録したり、スパムメール送信者を捕まえるために一時的な電子メールアカウントを使用したりするのが一般的です。顧客の電子メールアドレスを有機的に得ているかどうかに関わらず、スパムトラップはどこにでも存在するという認識でいましょう。

 

リスク#2:古い連絡先データ

電子メール送信に影響を与えるその他のリスク要因として、以下のような項目が挙げられます。

・メッセージが受け入れられる割合

・電子メールがエラーとなり、配信されない頻度

・悪質もしくは疑わしいアドレスへ電子メールを配信する頻度

こういった要因を踏まえたうえで言えるのは、古い連絡先データをそのまま使い続けると最悪の結果を招きかねないということです。データの検証やクレンジングを行わないまま過去のデータを利用すると、ピークシーズンに費やした労力が台無しになる可能性があります。ホリデーシーズンは古いデータを使って過去の顧客を呼び戻す期間ではなく、購買意欲の高いアクティブな顧客を獲得するべき期間なのです。

通常、小売業者はピークシーズン中に送る電子メールの量を増やします。しかし、その量が多すぎると評判を落とす恐れがあります。

顧客に無視される可能性があるだけでなく、その電子メールがスパムであるというフラグをつけられる傾向が高くなります。電子メールの送りすぎは、ESPに対して危険信号を示すものであると同時に、送信元である小売業者の評判にも悪影響を与えてしまうのです。

自社が送信している電子メールは妥当な量だ、とお考えの場合でも、以下のようなタイプの電子メールを見逃していないか確認してみましょう。

・予想外に増加している電子メール(顧客が駆けこみでギフトカードを購入した場合など)

・サービスを目的とした電子メール(ショッピングカートに商品が残ったまま、購入されていないことを知らせる場合など)

・顧客がメーリングリストに登録した際のウェルカムメール(顧客がお得な情報を探しているときに増えやすい)

・店頭で商品を購入したあとに送られる領収証の電子メール

・商品を販売後、自動的に送られる顧客満足度調査の電子メール

連休中に送る電子メールの量について、しっかりと考慮することが大切です。送信量が増えると、購読者の減少、スパムの苦情率の増加につながるほか、顧客の受信ボックスを圧迫し、不信感を抱かせる可能性が高くなることを把握しておきましょう。

 

リスク#3:デジタルファーストなオムニチャネル・リテイリング

オムニチャネル・リテイリングとは、カスタマーエクスペリエンスを第一に置き、実店舗、オンライン、モバイルデバイス、ソーシャルメディア、電話といったすべてのチャネルを通して同じようにパーソナライズされたエクスペリエンスを提供することです。

小売企業がオムニチャネル化を進めると、顧客データを取得する手段が増えます。データを収集する場所が増えるということは、無効な情報や疑わしい情報が連絡先リストに入ってしまう可能性が高くなるということです。特にデジタルチャネルは、年を追うごとに利用する顧客が増えています。こういったリスクを排除する最善の方法は、顧客に対して電子メールや郵便を送る前に、最初の段階でデータをクレンジングし、検証することです。

 

小売業者にとって非常に大切なのは、正確な連絡先

多くのeコマースサイトでは、翌日配達や大型連休に間に合うような配達保証を掲げています。競合他社に負けないためには、秀でたカスタマーエクスペリエンスを提供する必要があります。

データ品質(正確な住所など)を重視することで、顧客が注文した商品を約束通りの時間に届けることができるようになります。

連絡先データを入力するフォームはそれぞれのeコマースサイトによって異なるため、ミスが簡単に発生してしまう状況になりがちです。フィールド名、ページのフレーム、データフローなどが異なると、経験豊富なユーザーであっても混乱する場合があります。その結果、顧客データが間違っていたり、不完全であったり、欠けていたりというケースが発生します。

顧客の注文品が梱包される前に住所の検証を行い、連絡先データの品質を事前に確認することで、商品を確実かつ時間通りに配達することが可能となります。また、従業員が手作業で住所を修正したり、返送された郵便物を処理したりする時間を短縮することができることから、こういった検証はピークシーズンには特に重要です。

 

データ検証のベストプラクティス

まずは、既存のコンタクトデータ全体に対して定期的に一括バッチ処理を行いましょう。続いて、Webフォーム、ショッピングカート、CRMなど、連絡先データが追加されるさまざまなチャネルにおいて、電子メールアドレスの入力ポイントでリアルタイムのデータ検証と健全性管理を適用させます。この作業によって、既存のデータと将来的に追加されるデータがどちらも改善されます。

データ検証では、電子メールアドレスが業界の電子メール標準に適合しているか、ドメイン名が存在するかといった確認や、電子メールサーバーに対して特定のユーザー名が存在するかどうかを検証します。電子メールの健全性管理は、連絡先リストに対してフォレンジックな働きをし、スパムネットワークやトラップほか、悪質な要素を含むメールドメインを特定します。

また、入力ポイントやバッチでアドレス検証を行いましょう。アドレス検証ソリューションは、単にアドレスが存在するかどうかを検証するだけではありません。例えば、インフォマティカの住所検証機能では、以下のような価値ある機能を提供します。

・解析を通し、個々の住所要素を識別

・グローバルな郵便サービス基準に合わせたフォーマット

・エンリッチメント(緯度・経度の地理座標や人口統計データなど)

 

データ検証を始めましょう

ピークシーズンやその後の成果を上げるには、基本的な事柄を正しく行えるかどうかにかかっています。そして、顧客の連絡先データのクレンジングと検証を行い、関連性を確認することは最重要の基本的事項です。データが自然に改善されることはありません。そのため、年間を通して顧客の期待に応えられるようなツールを使う必要があるのです。

インフォマティカの提供する、データ検証のデモ版をぜひお試しください。


本ブログは2021年10月25日のDONAL DUNNEによるWhy Data Verification Is Key: Watch Out for These 3 Retail Risksの翻訳です。

First Published: Nov 24, 2021